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「枕草子」季節の美しさ。”Makuranosoushi” The beauty of the season.

今回は、日本の古典の「枕草子」の第1段です。日本は、南北に長く、そして、春、夏、秋、冬、があり、これを「四季(シキ)」と言い、その季節の美しさを描いています。私は、この第1段が、大好き、です。

日本人は、感動すると言葉に出しません。だから、心から感動すると「心に染みる(ココロニシミル)」という、表現になります。これは、言葉にならず、心に、感動が広がっていくことです。つまり、感動というのは、「共感」する。日本人の感性は、主張することではありません。誰でも、分かってもらえることを前提にしています。だから、あえて言葉にしない、のです。

これは、日本の古典には、よく出てきます。「イフベキニアラズ」という言葉が、その象徴です。つまり、「あえて、言葉にするものではない」と言う意味です。日本は、感動しても、あえて言葉には、しません。その逆の事柄でも、言葉にしません。つまり、怒りや悲しみの感情です。

これは、「共感」。言葉にしなくても、分かってもらえるという、日本の文化です。つまり、「和(ワ)」です。そして、その根底には、「禅(ゼン)」モノノアワレ、です。以前、「平家物語」のワビ、サビに出てきました。

今回の「アワレ」は、カラスが、ほんの少しの数が、飛んでいる様子を、少ないものから、美しさを見つけています。だから、「ワビ、サビ」の美しさなのです。この解釈が、無いと、わかりにくいですね。

これが、日本の古典に良く出てきます。この事を良く理解すれば、日本人の心の動きが分かっていただけると思います。それでは、日本の「四季」の美しさを読んでいきましょう。

春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍のおほく飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。

秋は、夕暮れ。夕日のさして山の端(ハ)いと近うなりたるに、烏(カラス)のねどころヘ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛びいそぐさへあはれなり。まいて雁(カリ)などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫のねなど、はた言うべきにあらず

冬はつとめて。雪の降りたるは言うべきにもあらず、霜(シモ)のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭(スミ)持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶(ヒヲケ)の火も、白き灰(ハヒ)がちになりてわろし。

ハルハアケボノ。ヤウヤウシロクナリユク、ヤマギハスコシアカリテ、ムラサキダチタルクモノホソクタナビキタル。

ナツハヨル。ツキノコロハサラナリ、ヤミモナホ、ホタルノオホクトビチガヒタル。マタ、タダヒトツフタツナド、ホノカニウチヒカリテイクモヲカシ。アメナドフルモヲカシ。

アキハユウグレ。ユウヒノサシテヤマノハイトチコウナリタルニ、カラスノネドコロヘイクトテ、ミツヨツ、フタツミツナドトビイソグサヘアハレナリ。マイテカリナドノツラネタルガ、イトチイサクミユルハ、イトヲカシ。ヒイリハテテ、カゼノオト、ムシノネナド、ハタイフベキニアラズ。

フユハツトメテ。ユキノフリタルハイフベキニモアラズ、シモノイトシロキモ、マタサラデモイトサムキニ、ヒナドイソギオコシテ、スミモテワタルモ、イトツキヅギシ。ヒルニナリテ、ヌルクユルビモテイケバ、ヒヲケノヒモ、シロキハヒガチニナリテワロシ。

春は、夜明けの空が、だんだんと明るくていくのが良い。少しずつ太陽によって白くなっていく、山の近い所の空が、少し赤く染まって明るくなって、紫色になったような雲が細く横になっている。

夏は、夜。満月の頃は、特に良い。その反対の新月(あまり光らない月)の頃の闇のような夜でも、蛍(ホタル)が多く飛んでいるところが、嬉しく感じる。しかし、たった1匹、2匹、と少ない蛍(ホタル)が、ほんの少し、光って飛んでいるのも、心が動かされる。雨が、降ることも、心が動かされて、感動する。

秋は、太陽が沈む時。夕陽に照らされた、山際に太陽がすごく近くなると、カラスが、巣に戻ろうとして、3匹、4匹、2匹、3匹と、急いで行こうとする様子にも、深く心に広がって感動する。さらに、雁と言う鳥が、1列に並んで、とても小さく見えるのは、とても心が動かされる程、感動する。太陽が、沈んでしまって、風の音、虫の出す音は、言葉にしなくても、良いほど、感動する。


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