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日本における少子高齢化社会がもたらす現象と対策と課題

日本における少子高齢化社会がもたらす現象と対策と課題


日本における15歳から64歳までの生産人口は、1995年をピークに減少を続けており、2020年には7450万人で、総人口に占める割合は59.4%になっています。今後、生産年齢人口は、さらに減少していくものと推計されており、社会保障制度の維持や経済成長の停滞が懸念されています。


高齢者人口の増加により、65歳以上人口は、1970年には700万人を超え、その後も増加を続けており、2020年には、3607万人に達しました。今後、高齢者人口は、さらに増加していくと推計されており、医療・介護サービスの需要増加や社会保障制度への負担増加などが懸念されています。


2025年には、65歳以上人口が総人口の30%を超える「超高齢化社会」に突入すると推計されています。超高齢社会になると、高齢者向けの医療・介護サービスの需要増加や社会保障制度への負担がより重くなると考えられています。


社会経済の変化


・労働力不足 生産年齢の減少により、労働力不足が深刻化しています。特に、介護、建設などの分野では、人手不足が顕著です。労働力不足は、企業の生産性低下や賃金上昇圧力などにつながることが懸念されています。先のレポートでも、述べましたが、トヨタ自動車株式会社は、すでに、70歳まで働ける、企業になりました。また、それに続いて、検討している企業が多くあるようで、ますます、高齢者に働いてもらうことの重要性が高まっています。


しかしながら、高齢者は、判断力や、瞬発力が、一般に若い世代に比べると、劣ることが多いので、日本の高い技術力は、これをサポートすることにより、高齢化社会の解決を図ろうとの試みが見られます。一般的には、インターネット普及による貨物の増加や、交通手段としての自動車の自動運転技術の普及です。


世界は、電気自動車開発を凌ぎを削る中、日本の自動車メーカーは、自動運転技術を更新していました。2021年3月には、本田技研工業株式会社は、ホンダ「レジェンド」世界初の自動運転レベル3を達成しました。2023年4月から高速道路上でも限定的な自動運転が解禁されました。これは、レベル3の自動運転であり、ドライバーはシステムの指示に従い、周囲の状況を監視する必要がありますが、ハンドル操作やアクセル・ブレーキの操作は自動運転システムが行います。


また、2021年より経済産業省と国土交通省が共同で進めてきた「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」にて、自動運転移動サービス実現に向けた実証実験を実施しました。これを福井県永平寺町で実施する実証実験において、2023年5月11日付けで道路交通法に基づく特定自動運転として日本国内で初めて許可を得る。これにより、レベル4の自動運行装置を用いた運転者なしでの走行が可能となります。


これは、国立研究開発法人 産業技術研究所と民間事業者、株式会社ソリトンシステムズ、三菱電機株式会社、ヤマハ発動機株式会社とで組織されたコンソーシアムに委託し、進めてきたものです。このプロジェクトは、2023年3月30日には、日本国内初のレベル4の自動運転できる装置として認可されましたが、これに引き続き、道路交通法に基づく特定自動運行に関する申請書を福井県公安委員会に提出し、2023年5月11日付けで許可されました。


道路区間など、制限は大きいものの、まずは、公道で、無人化した運転装置を公道で実施、運行される意義は、大きく、レベル4の開発は、実用化が待たれるところです。これにより、少子高齢化社会をなんらかの形で、打破できる可能性を秘めています。


・社会保障制度への負担増加 高齢者人口の増加に伴い、医療・介護サービスの需要が増加しており、社会保障制度への負担が重くなっています。特に年金制度や医療制度は、財政的に厳しい状況に直面しており、抜本的な改革が必要とされています。


・地域格差の拡大 少子高齢化の影響は、地域によって大きく異なっています。都市部では、人口減少や労働力不足が比較的軽微である一方、地方部では、人口減少や高齢化がより深刻であり、地域格差が拡大する傾向にあります。


これは、地価動向にも顕著に現れています。安くて田舎の土地よりも、小さくても、便利なところが好まれます。これは、医療格差や収入格差にもつながるため、必然的に発生するものであります。


このように少子高齢化社会対策をしている日本ではありますが、社会保障は、なかなか、人口動向により、若年が高齢者を支える、という社会構造であるために、次のような問題が発生しております。


・老後2000万円問題


日本政府は、2019年6月に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループが公表した報告書「高齢化社会における資産形成・管理」において試算された、老後の生活費が不足される可能性があるという問題です。


報告書では、夫婦が老後30年間、年金以外に月5万円ずつ生活費を支出する場合、約2000万円の不足額が生じるという試算結果が示されました。この試算結果は、当時のメディアで大きく取り上げられ、老後生活資金不足に対する国民の不安を煽ることになりました。


そうして、「貯蓄から投資へ」は、近年日本政府が推進している政策スローガンです。これは、従来日本人に行われてきた「貯蓄第一」という考えを改め、積極的に投資をして資産を増やすことを促すものです。


日本の学校教育にも、投資に関する授業も始まりました。このようなことから、自己責任において、自分の老後資金を増やす、ことを積極的に日本政府は、打ち出しました。


・NISAの設立 NISA(ニーサ)は、少額投資非課税制度の略称で、2014年からスタートした。利益が非課税になる制度です。

NISA制度は、大きく分けて以下の3つの種類があります。


1.つみたてNISA

毎月一定額を積み立てる投資信託を購入し、その運用益が非課税となる制度です。

・非課税保有期間 20年間

・年間投資額 40万円

・非課税限度額 800万円


2.一般NISA

株式や投資信託を購入し、その売却益が非課税となる制度です。

・非課税保有期間 5年間

・年間投資枠 120万円

・非課税限度額 600万円


3.ジュニアNISA

未成年者が株式や投資信託を購入し、その売却益が非課税となる制度です。

・非課税保有期間 18歳まで

・年間投資額 120万円

・非課税限度額 600万円


2024年からの新NISA


2024年からは、つみたてNISAと一般NISAがそれぞれ「成長投資枠」と「つみたて投資枠」に改められ、以下の点が変更されました。

・非課税保有期間が無期限化

・年間投資枠と非課税限度額の引き上げ

 成長投資枠 年間120万円、非課税限度額1200万円

 つみたて投資枠 年間120万円、非課税限度額600万円

・成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能


このように日本の金融状況は、大きく変わりつつあります。


今までは、高齢者が多く金融資産を持っていることが多いものですが、この頃は、「シン富裕層」という言葉ができました。


これらの人々は、


1.高い収入と金融資産

シン富裕層は、年収1000万円以上、金融資産5億円以上と、高い収入と金融資産を保有しています。これは、従来の富裕層の定義である「年収1000万円以上、金融資産3億円以上」よりも高い水準です。


2.投資志向が強い

シン富裕層は、積極的に投資を行い、資産を増やしている特徴があります。株式や不動産、投資信託など、さまざまな金融商品に投資しており、高い投資リターンを追求しています。


3.起業家やコンサルタントが多い

シン富裕層は、サラリーマンよりも起業家やコンサルタントなどの自営業者が多いという特徴があります。海外の金融商品や不動産にも積極的に投資しており、世界経済の動向にも、関心が高いようです。


4.ライフスタイルにこだわりを持つ

シン富裕層は、高級住宅に住んだり、高級車に乗ったりするなど、ライフスタイルにもこだわりを持っているという特徴があります。旅行や趣味にもお金を惜しまず、充実した生活を送っているようです。


シン富裕層の出現背景

シン富裕層には、以下の背景が考えられます。


・グローバル化の進展

グローバル化の進展により、国内外でビジネスチャンスが広がり、高収入を得られる機会が増えています。


・起業しやすい環境

近年、起業しやすい環境が整っており、自ら事業を立ち上げて成功する人が増えています。


・金融商品の多様化

金融商品の多様化により、投資の選択肢が昼狩り、高利回りの投資商品に投資しやすくなっています。


シン富裕層の今後


シン富裕層は、今後も増え続けていくと予想されます。この背景には、日本社会の高齢化や少子高齢化による富の集中、IT技術の進展による新たなビジネスチャンスの創出などが考えられます。


日本における富の二極化


近年、日本社会における富の二極化は深刻化していると言われています。これは、所得や資産の格差が拡大し、富裕層と低所得層の間に大きな差が生じていることを指します。


・所得格差

ジニ係数 所得格差を測定する指標であるジニ係数は、日本において過去20年以上にわたって上昇しており、2021年には0.495を記録しています。これは、OECD加盟国の中でも高い水準です。


2021年の統計では、日本の平均所得は596万円でしたが、上位10%の所得層の平均所得は、1717万円、一方、下位10% の所得者層の平均所得は118万円でした。


・貧困率

2021年の統計によると、日本の貧困率(相対的貧困率)は15.7%となっており、OECD加盟国の中でも高い水準です。

貧困率は、特にひとり親世帯や無職世帯で高くなっています。


まとめ


今や、医家の存在や政治家、など、社会階層が、具現化してきており、これらは、危急に改善しなくては、ならない問題であります。日本は、税負担が重く、課税することによって、公的に貧困層を支援しています。


しかしながら、課税をうまく乗り越えることによって、資産を築く人々も多いのも、特徴です。このように、欧米では、寄付により、成り立つ貧困層への支援は、違う形で行われております。けれども、少子高齢化社会は、社会保障を貧弱にするものであり、これは、改善しなければ、日本の富の二極化は、拍車がかかることになるものです。


これには、日本政府も、何らかの形で、支援する基金を用意しなければ、ならないでしょう。

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